やっと観ました

やっと「戦メリ」観ました。

やはり過去みた記憶と全然違いましたね。当時は豪華なキャストによる話題が先行していたし、正直内容なんてわすれてました。せいぜい覚えていたのがデヴィッド・ボウイ扮するジャック・セリアズが坂本龍一扮するヨノイ大尉にキスするというホモっぽいシーンと、たけし扮するハラ軍曹が「メリークリスマス ロレンス」と言うシーン。そんな色眼鏡全開の状態で観たのですが、なかなか深い映画でした。

第二次世界大戦まっただ中1942年、日本軍の捕虜収容所での出来事が描かれています。ただし戦争映画としてはかなり異例。この映画では決して日本人も英国人、欧米人も良くは描いてないのです。つまり、どっちが正義でどっちが悪という簡単な結論にしていない。・・・現代の価値観から言うと、英国人、欧米人の言っていることは正しいと思えるのですが、ヨノイ大尉を始めとして日本人の行動も理解できる気がする部分がある。日本人独特の価値観と、英国人、欧米人の持つ価値観。そこには宗教観、道徳感を背景に全く異なる考え方があってお互いに相手を受け入れることが出来ないのです。だから、捕虜収容所という状況下であってもぶつかり合う。という内容。

完全にネタバレですが、今更、良いでしょう。

この話の中心的な筋書きになると思うのですが。
ヨノイ大尉は英国陸軍の英雄であるジャック・セリアズに何かを感じ助ける。(ヨノイも二・二六事件の3ヵ月前満州に左遷されたため決起に参加できず、死に遅れたと言っているので、そこに背景の違いと、シンパシーが描かれてるのだと解釈してる)。そして、彼が過去の悲しい思い出を語る場面(障害者の弟が虐められるのを黙って観ている)、身を投げ出して捕虜長ヒックスをかばう場面(そしてその直前に彼は唐突に「ここは美しい」とか言い出す)、死の間際に弟と再会するという夢を観る場面。弟を助けられなかったトラウマを晴らすかの如く仲間(ヒックスや、捕虜、病人)を救うために自ら犠牲になる。彼の破天荒な行動に悩まされたヨノイ大尉も、彼の最期、当時の日本軍では考えられない程の恥であろう「敵軍の捕虜の遺髪を手にする」という行動を取る。そのシーンで思わず泣けてきました。

大島渚監督だけあって、かなりホモっぽい雰囲気が漂うんですが、こういう友情を描いた映画なんで、多少は仕方ないのかと。任侠映画でも良かったのかも・・・。
あと超有名なこの映画の音楽ですが、ラストシーンではたけしの演技と相まって破壊力抜群でした。

正直、全然期待してなかったので、見終わってから少し惚けてましたわ。